Kishima's Hateda log

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今のテレビ業界について何か感じること、思うことがあれば教えてください。

THE INTERVIEWSより。

もともとそんなにテレビが好きな方ではないのですが、お仕事のこともあって気がついたら色々考えるようになってました。ちゃんとした結論はないですが、答えてみます。世界を変えたいという意識が根底にあるので、それを踏まえて読んでもらえるとよいと思います。

 テレビという言葉に対する視点としては、端末としてのテレビと、文化としてのテレビの二つに分けられると思います。(私の興味として)
 文化について最初に書きます。
 「テレビ文化は衰退して、これからはネットだ」というお話をよくネット上では見かけます。私もそうなったら面白いと思う一人です。しかしテレビはなんだかんだ言っても、いまだ大多数の人にとってメディアの主であるし、これからもそれは劇的には変わらないのではないかと色々経験して実感として感じています。既存のテレビとネットという軸はずっともやもやしているところです。
 ネットから情報を得ることと比較して、情報のインタフェースとしてのテレビはとても分かりやすくて、チャンネルを選べばそれなりのコンテンツがゆるりと視聴できる。そしてみんながそれを見ている。しかしネットはそうではない。これは優劣ではなくて、コンテンツに接する文化の違いなので、そうそう入れ替わるものではないと思います。または、この場合はテレビというより放送という言葉の方が適切だと思います。
 それを踏まえた上で、自分の感想として、テレビは、ネットうんぬんは多少あったとしても結局これからもこのまま現状の延長が続くのかなあと何となく想像しています。それはアクトビラの現状を見ていても感じることです。
 でも個人としてはそれはとても面白くない。
 自分にとってテレビは特定のコンテンツを視聴する再生専用機になっています。例えばそういう方向性ではいくらでも進化の余地はあると思います。インタフェースからコンテンツを得る手段など、それこそAppleとかがやりそうな方向性で。個人的にはアニメとNHKのドキュメントとかいくつかの番組さえ視聴できれば、放送は無くなってもさほど問題はない方面の人間なので、こういう進化をしてくれれば放送が見れなくなっても大して困らないです。
 しかし今こうして無料でこんなに沢山のコンテンツに接していられるのは、今の広告によるビジネスモデルが上手くいっていることが前提で、それが崩壊するような方向性での進化は中の人はそうそう認めないでしょうし、単に壊すだけなら結果として今のようなコンテンツが見られなくなるかもしれないです。絶対数からすると壊したいという願いを持つ人は少数派なんだと思います。
 少数派としては自身の視聴文化を布教していきたいと思うのですが、さっきも言った通り、誰もが望んでいることではない以上、それはとても困難なことです。奴らは分かってない、とかなんとか言っても意味のないことです。たぶんこれを変えるには現状の延長ではなく、別の方向性から切り込んで、新しい価値に賛同する消費者を拡大していくことが必要なんだと思います。
 そういう新しい方向性としてはニコニコ動画が放送形態も含めたメジャー指向で進化しているのは興味深いです。万人受けを目指した結果、その筋の人間にとってはつまらなくなるかもしれないですが、そんなメジャーへの挑戦をするネット企業は応援したいです。
 その他では、Netflixのようなコンテンツ販売主体のサービスは価格と内容の組み合わせ次第で一定以上普及するとは思いますが、能動的にコンテンツを摂取する文化側のサービスである限りは現状のテレビ/放送をそのまま置き換えることにはならないと思います。
 しかしNetflix系のサービスが流行ることによって、テレビ局の収益が悪化して、それがきっかけに不連続な変化が起きる可能性もありそうかなと思います。どこかに買収されそうになったときに以前と同じことが繰り返されるのかどうか、興味があります。
 
 そして端末としてのテレビについて。
 今のテレビは基本的にパネル中心に動いているので、投資も基本的にはパネル関連に行われるのが常です。コストが掛かる部分なので、大量に作る/調達する必要があります。
 でも個人的にはいいパネルから得られる画質には大してこだわらないし、大多数の人も積極的にこだわっているのはさほど多くない印象です。スペック並べて同じ値段だったら高画質な方を選ぶという感じで。
 乗ってるソフトウェアはチープなので、どのテレビを触ってみても、操作はもっさりしていて、リモコンは複雑で、お世辞にもUXをちゃんと設計してるとは言えない。
 私個人は最悪と思っていても、現状のニーズから考えると実はそれで必要十分な状態であるのかも、というのは実感として感じています。単に受動的な放送視聴するには数字ボタンを押して、チャンネルが映ればそれで十分なんだと思います。残念。
 個人的にtorneのUIは面白くて好きです。自分がこうあればいいなと思ったことの多くが実装されてます。(メニュー画面が先頭にある、動作の軽快さ、スキン機能がある、トルミル機能とか)
 しかし、torneが素晴らしいと思っても、それは世界を変えるほどには至っていないわけです。それもやはりそれを求める人が限られているからだと思います。
 もし端末をもって世界や文化を変えるのならば、その端末は新しいUXとそのUXでしか経験できない新しい何かをセットで提供してあげないといけないのだと思います。(それをやりとげたのがiPhoneだと思っているので、自分の中では最高にリスペクトしてます)
 テレビで変革を実現するために、一つの可能性として、GoogleTVがあったわけですが、蓋を空けてみるとテレビとネットが不協和音を起こしているような印象でした。テレビを変えて行くにはAndroidのようにフレームワークだけ提供すればよいのではなく、放送にも踏み込んで行く必要があるのだと思います。しかしGoogleはそこには興味がなさそうなので、微妙です。

 結局端末だけではだめで、放送とセット変化を起こすことができれば、それが新しい「テレビ」になると予想してます。
 それを実現させるのが、現状の放送業界かというと、そうは思えないというのが、自分の印象です。じゃあ他に誰がいるか、というそれも思いつきません。
 と言いつつも、ここ10年で携帯業界に起きたようなことが放送業界で起きそうな漠然とした予感もあります。
 それが日本発であって欲しいなとは思っていますが、日本からではしがらみを乗り越えられそうもないと感じているので、そこが大変もやってます。(業界規格とかについても色々思う所はありますが、話すと長いのと、ここで書いちゃうのもあれなのでこれくらいにしたいと思います)

結論:快適にアニメを視聴したい