Kishima's Hateda log

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CNET Japan Innovation Conference 2009 へ行ってきた。

http://japan.cnet.com/info/cjic/
私的愉しみの面ではLLTV行きたかったが*1、気になるセッションがあったのでこちら来てみました。以下にレポと感想をごちゃまぜに記録しておきます。
全体としては、ベンチャーと大手が肩を並べて発表するというのが面白いと思った。もっとコラボしていってほしい。

ServersMan

発表資料:http://www.freebit.com/press/movie/2009-08-29_FLV/index.html
ちょっと遅れての拝聴開始です。
これは何でもサーバにしてしまおう、というサービス。iPhoneブレードの図がコンセプトを端的に表しているなと思った。
全ての機器がサーバ的機能を持たせるためにはやっぱりユニークなIPアドレスが欲しいので、IPv6必要よね、という話には同意。現在提供されているのサービスには不要でも、新しいサービス、世界が広がる可能性があるから、IPv6は導入すべき、というのが私の持論。インフラが自由な発想を制限してはいけない。
iPhone以外にもデジタル家電にも導入していく予定のことなので、期待したい。まあ簡単と言っても実際はセッティングは大変なのではと思うけれど、諦めないことが大切。NASAndroidiPhoneより面白いことができそう。
社長も最初はバグっても、大目に見てね、と言ってました。
でも家電の文化はバグを許さないので、技術的側面だけではなく、家電がどのようにユーザに受容されていくのか、という文化がこれから変わっていくのではないかと思っている。
安全確実な部分と、βサービスで攻めていく二面性がネット家電には必要。

Panasonic

登壇したのは商品企画の方。Cerevoの岩佐さんの元上役らしい。
発表内容はDIGAのネット機能の変遷と現在について。資料がいかにも大企業的だったので、twitter上でも突っ込まれてました。まあ、ああいう立場の方が発表するとそうなるよね。
ホームゲートウェイ的な機能を持ったITアダプタというものを作っていたことがあるらしい。外からの録画予約とかの機能を盛り込んでいたそう。300台限定生産というのは、相当無理を言って企画通したのだろうなということが偲ばれます。元々PanasonicはWeb方面のネットに前のめりという感じでもないので、ネット接続を推進する勢力とそれを否定する勢力が綱引きをしている感じがする。
PCに家電の世界が浸食されることを恐れていたが、今は融合を考えているとのことなので、今後に期待したい。
Cerevoを見て思ったこととしては、せっかくこういう比較的ゆるい場に立ったのだから、一杯質疑してほしかった。何だかんだ言って、みんな大手には注目していると思うよ。

Sony

最近発表されたアプリキャストブラビアポストカードとLife-Xについて。
ブラビラポストカードは携帯やカメラで撮った写真をメールやLife-X経由でテレビに送信できるサービス。他のメーカも似たようなことやっていたりもするのだけど、本サービスはSonyだけあって、今のテレビでできる最大限のI/Fを提供できていると思う*2
視聴中にネットからの通知に応じてポップアップがあがったりすることも地味に大切*3。TVネイティブの機能とネットがもっと融合していって欲しい。

Life-XはWeb上のコンテンツのハブとなるサービス。画像、映像、メモ、ブログなどの情報をタイムライン上に並べたり、友人と共有できたりする。
PCだけではなく家電向けに情報を再編集して提示できるような方向性も考えているらしいので、注視したい。まずは試してみようかと思う。
家電の限られたリソースでWeb上の全てのコンテンツを快適に体験できるわけではないので、その仲介役は今後必須になると思う。

Cerevo

発表資料:http://cerevo.com/doc/cjic2009/
詳しい説明:http://tech.ascii.jp/elem/000/000/455/455358/

Cerevoカメラの説明。年内発売を目指しているそう。詳しい説明はASCII.jpに譲ります。UIがファミコンを意識しているっていうのは、らしいなと思った。
Cerevoだからできることとして、会社の軽さを生かしてネットワーク前提の家電を作っていくとのこと。大手だとアイデアはあってもしがらみがあって実現できない製品をCerevoならやれる、ということだと思う。
今後、カメラのアプリケーションもユーザが開発可能にしていきたいというのは、オープンソースハードウェアのお話にも繋がる*4ので大いに期待したい。

質疑であった話として、ネットでアップデートしていくことで買い換え需要を自ら否定しているのでは?という質問に対して、家電メーカにとって、新しい製品を作り続けることは幸せだろうか、と回答あったのは興味深かった。一つの製品が長く売れるのが一番いいもんね。家電メーカはみんな任天堂みたいな商売したいと願っていると思う。なんでも新製品開発はヘビーなもんです。

発売したら購入するかも。

パネルディスカッション

登壇したのは以下の方々。

辻野 晃一郎氏( グーグル株式会社 代表取締役社長 )
石田 宏樹氏( フリービット株式会社 代表取締役社長 CEO )
塚崎 秀雄氏( WillVii株式会社 代表取締役社長 )
モデレータ 別井 貴志( CNET Japan 編集長 )

以下は討論内容のメモです。不正確な部分もあると思われるのでご了承下さい。
辻野さんは初めて拝見しましたが、クールな方なんですね。


モデ:ガジェット使ってる?
辻:チャンビーは机の上にある
  かわいい
石:たいがい使っている
塚:立場上どれがいいとかは言えないが、作っている会社のあきらめない姿勢がよい
モデ:ネットと繋がって欲しい家電
石:冷蔵庫は電源が常に入ってる
  「人×もの」今後は「もの×もの」が来るのでは。
  ABSが働いているとこはスリップ注意という実験をやったことがある。
辻:家電には役割分担がある
  家電には、時間節約型、時間消費型の2種類ある。役割を考えることが必要。
モデ:画像、動画、以外のなにかブレイクスルーはないのか?一般に普及するために必要なものは
石:シンプルなUIにしていくことが必要。
  Serversmanは普通の企画会議は通らない。UIに時間をかけた。
  正解が分からない。修正を前提にトライ&エラーしていくことが必要。許容をいただくことも必要。
 コミュニケーションに繋がっていく。
辻:某S社で次世代家電を考えた。石田さんと仕事をした。家電にVALUEを戻さないといけない。
 クラウドに向かっていく。Serversmanはネットの向こうをこっちに持ってきた。
 
モデ:一般に普及するためには
塚:どんどん難しくなっていくのが問題。毎年リモコン変わると大変。家電は変わらないことが大切なことの一つ。
  i-modeは固めたこともすごいことの一つ。
モデ:回線がブロードバンドになってきたことについて
辻:YouTube、帯域の10%。一時間に20時間分の動画
  ユーザが繋がったところにどんなValueがあるのか
  旧来のやり方だと、ハード作ってるだけで大変。その先にたどり着かない。Androidを使えば、開発費の削減可能。
  日本の技術者はすばらしい。花開かない状況がくやしい。ビジネス的なプロデュース、全体を見た生態系を作るのが上手くない。
  Googleは材料を提供している。ここをベースに世界に羽ばたくことが可能になるかも。
石:プラットフォームで負けてきた。2001年宇宙の旅をまだ実現できていない。再デザインが必要。
  プラットフォームを提案したつもりが、結局、最終製品まで作ってた時期も。
  世界観が大切。
塚:プラットフォームを作るには、独裁者が必要。
  プラットフォームは揺るがないことが必要。日本の場合、担当者がローテーションする。変わっていってしまう。普及には一例が必要。
  人の目に接するものは必ずメディアになっていく。ビジネスチャンスがある。
モデ:エールを送ってほしい。
石:インターネットはWEBだけじゃない。ブラウザ以外におもしろい世界が。
  Serversman、ビットが動いたら課金を考えている。
辻:GoogleはEnpowers。Googleは企業にとっても個人にとっても助けになる存在。APPS、ADWARDSなど。
  Googleが提供するものが、上手く伝わってない部分は反省。説明不足だった。社内でもアカウンタビリティを大切にしている。
  今後は商圏がいきなり世界。
  イノベーションは受け入れてもらうことが必要。作っただけではだめ。
  今話したことは全部宣伝(笑)。

塚:チャンスがある。
  PFが準備されつつある。
  世界にはマーケットがある。
  不況にはチャンスがある。
  社内でも新しいことができる。
  ブログで認知される機会がある。

*1:TL見ていると超カオスでとても気になった

*2:アプリキャストだけあって、ファームウェアのアップデートもいらない点がとても良い。携帯とかじゃ当たり前なんだけど

*3:実際は数分おきのTVからのポーリングとのこと。ポーリングしないとNAT越え問題起きるしね。

*4:キャズムを超えろ!の記事:http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20090513/p1